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エクセルで充分

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夜の井の頭線。
サンドイッチマンのような2人組が同じ車両に乗っていた。
私は座っており、目の前に彼等がつり革にぶら下がるように、だらしなく立っていた。
見るからに堅気ではなさそうな、セカンドバッグがよく似合う彼等。
なんだかちょっと怖いので、うつむいて週刊誌を読んでいた。

「・・そりゃお前、インターネットでアレすりゃいいんだよ。」

右の金髪男がしゃべりだした。
それに左の男が相槌を打つ。

「そっすね。ふつうそうっすよね。」

右「だってお前よ、効率がさ、段違いだろうよ」
左「そりゃそうっすよ、ネットは。」
右「でもよ、考えてみりゃ、インターネットっつても、所詮ウェブだろ?」

どういう事だ。話の内容がまったくつかめない。『インターネットは、所詮ウェブ。』!
なんだこの中身の全く無い話は!一体この先、この話はどう進んでしまうのか。
たとえば、現状彼等の会話は、
『天才少年、っつっても、所詮は子供だろ』
という語法では決して展開してはおらず、
『オリンピックっつたって、所詮、五輪だろ』
というような、わけのわからない混乱状態に差し掛かっているのだ。

ふつうなら、こういう場合「まあ、大変だな。」とか言って、うやむやなムードで会話は終わっていくが、驚いたことに、右の金髪男がこう言った。

「で、お前どう思う?」

続行である。
鉄の心臓だ。この展開に私は身を乗り出した。

左「・・・・うーん。。そうっすねぇ。」

答えに窮している。そりゃそうだ。だってどう見てもおまえ、わかんないだろ!『スイマセン、自分、知ったかぶりでした』って、いっそ謝っちゃえよ!そうすりゃ金髪も『実は俺もサッパリわかんねぇんだわ。』と、和やかで無理の無い雰囲気になるから!もう、大人になれ、左のヤツ!

左「・・うーん、まあ、エクセルで充分っすね。」

エクセルと来たか!
何を言い出すか!左!もうこれ、戻れないぞ!
すると、右の金髪はこうきた。

右「ま、そうだな。」

だって!納得しちゃったよ!

右「でもよ、結局はやる方も人間、受け取るのも人間だからよ・・。」
左「人間力っすね。」

人間力。

そう言って彼等は新代田の駅で降りた。

日本語は便利だ。十五分くらいなら、内容が無くても会話らしきものは出来るのだ。
コミュニケーション不足なんて言われる昨今。こんなに積極的に責めまくる会話を、私は今まで聴いたことが無い。
人間力!

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